Re: 対応分析か主成分分析か (HIGUCHI Koichi) KH Coder 旧掲示板
[ツリー表示] [留意事項] [ワード検索] [過去ログ]

  [No.1865] Re: 対応分析か主成分分析か 投稿者:HIGUCHI Koichi  投稿日:2014/11/06(Thu) 18:44:04

こんにちは、樋口です。書き込みありがとうございます。

KH Coderに対応分析(Correspondence Analysis)の機能を備えている理由で
すが、1つには、フランスの流儀を尊重してと申しますか、Benzecri氏から
Lebart氏へと引継がれた方法を採用したことがあります。文献としては、こち
らのLebart他の本[1]がまとまっていると思います。

[1] Lebart, L., Salem, A. & Berry, L. 1998 Exploring Textual Data,
Kluwer: Dordrecht. http://amzn.to/10ywrd2

その他、90年代の方法論紹介の論文[2]では、次のようにも触れられています。

Analysis of textual data is based on a multidimensional descriptive
analysis of texts, involving mainly factor analysis of correspondence
and automatic classification, applied to the lexical profiles of the
texts (Lebart, 1995). "It is mainly for the purpose of analysis of
language that we embarked on Factor Analysis of Correspondences"
(Benzecri, 1973).

[2] Guerin-Pace, F. 1998 "Textual Statistics: An Exploratory Tool for
the Social Sciences," Population 10(1) 73-95

※なお対応分析(CA: Correspondence Analysis)は、もともとフランス人の
Benzecriが"AFC:Analyse Factorielle des Correspondances"という名称で提
案したものです。英語圏に広まる際にCAの方がメジャーな名称となりました。
しかしこの論文では、AFCを英語に直訳した"factor analysis of
correspondence"という名称を主に用いているようです。つまり、この論文で
言っている"factor analysis of correspondence" = "correspondence analysis"
のはずです。


対応分析(Correspondence Analysis)の機能を備えた理由として、もう1つは、
日本の流儀とでも申しますか、林知己夫氏から大隅昇氏に引継がれた、数量化
III類の方法(数理的には対応分析と同等)を採用したという面もあります。
文献としては、大隅氏とLebart氏の共著!の論文があります[3]。

[3] 大隅昇・Lebart, L. 2000 「調査における自由回答データの解析 ―InfoM
inerによる探索的テキスト型データ解析―」 『統計数理』 48(2): 339-376
http://www.ism.ac.jp/editsec/toukei/pdf/48-2-339.pdf

また、大隅先生のWebにも情報が出ています。
http://wordminer.org/tips/63

※フランスの流儀と日本の流儀、2つの大きな学問的な流儀が平和裏に邂逅し
て成果をあげた、本当に希有な例ではないかと思います。


ともあれ、主成分分析の方が適するとお考えになったのは、どんな点からでし
ょうか? よろしかったらお教えください。


- 関連一覧ツリー (■ をクリックするとツリー全体を一括表示します)