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  [No.1534] 対応分析の際の軸の説明につきまして 投稿者:pote  投稿日:2013/12/25(Wed) 18:17:06

樋口先生のKH corder及び各種マニュアル・著作等にはいつも大変お世話になっております、ありがとうございます。

直接KH Corderそのものの質問になるかわかりませんが、お伺いさせてください。
先生のお書きになられた御論稿「社会調査における計量テキスト分析の手順と実際―アンケートの自由回答を中心に」(石田基弘・金明哲編2012『コーパスとテキストマイニング』、第10章)の10.5の部分などを参考に、アンケートの自由回答データと外部変数を組み合わせた分析を行い、論文を執筆しました。その過程で、対応分析の結果出力画面で(例えば御論稿図10.5など)成分1と成分2の軸の表示をしたほうがよいのでは、という指摘を受けました。

ただし、対応分析の本(エクセルなどを使った場合)を見ても、軸の表示を必要とするのか、しないのか、について意見が分かれているように感じ、どのようにすればよいか疑問を持っています。

そこで、1.対応分析の場面において軸の表示がKHcorderで可能なのか、また、2.先生が論文を書く際は分析結果ごとに説明するのか、3.これまで軸の記載を求められたことはあるか、その場合のディフェンドの方法等についてご教示いただけますと幸いです。お忙しいところ恐れ入りますが、何卒ご教示のほどよろしくお願い申し上げます。


  [No.1535] Re: 対応分析のプロットにおける軸のカスタマイズ 投稿者:HIGUCHI Koichi  投稿日:2013/12/26(Thu) 01:34:02

Re: 対応分析のプロットにおける軸のカスタマイズ (画像サイズ: 722×1522 25kB)

こんにちは、樋口です。書き込みありがとうございます。

ここでお書きになっている「軸」というのは、プロットされた語のx・yの値を
見るための、目盛りがついた直線のことかと思います。KH Coderが作成するプ
ロットの場合、そうした軸はプロットの左側および下側に表示されています。

したがって、必要なものはすでに表示されていると思うのですが、おそらく当
該のご指摘の主旨は、「原点(0, 0)を通る軸を表示しましょう」ということ
かと思います。この形であれば、原点がどこかが分かりやすいという利点があ
ります。一方で、プロットしている語と軸が重なって見づらくなってしまう場
合もありますので、KH Coderでは現在の形を採用しています。

■対応A
プロットを修正せずに、「すでに左側および下部に軸を表示しています。また、
原点を通る軸を描くと、プロットしている語と軸が重なって見づらくなってし
まいます」と反論することも不可能ではないでしょう。しかし、せっかくのご
指摘≒ご厚意ですし、この対応はお勧めできません。

■対応B
添付画像のBのように、(1)4角の枠囲みをなくすことで、左側および下部に軸
があることを強調し、さらに(2)原点の位置を示す十字型のマーカー(?)を追加
します。これならば、プロットした語と軸が重なって見づらくなることがなく、
原点の位置もはっきりします。

これを行うための手順は以下の通りです。

(1) 以下のスライドの4ページ目まで進めます。
http://www.slideshare.net/khcoder/r1kh-coder

(2) Rで以下のコマンドを実行します。
> par(mai=c(0,0,0,0), mar=c(4,4,1,1), omi=c(0,0,0,0), oma =c(0,0,0,0) )

(3) 保存した*.rファイルをテキストエディタで開き、「plot(」を検索します。
そしてplot()関数のカッコ内に「bty="l"」というオプションを追加して、上
書き保存します。

(4) スライドの5ページ目の手順で、保存した*.rファイルを実行します。

(5) 原点のマーカーを入れるために、以下のコマンドをRで実行します。
> segments(0, -0.25, 0, 0.25, col="red")
> segments(-0.25, 0, 0.25, 0, col="red")

(6) プロット上で右クリックをして、プロットをコピーまたは保存します。Wo
rdに貼り付けるならmetafile、LaTeXならpostscriptを選ぶと良いでしょう。

■対応C
添付画像のCのように、原点を通る軸を描きます。指摘をそのまま受け入れる
という形ですね。

これを行うための手順は以下の通りです。

(1) 以下のスライドの4ページ目まで進めます。
http://www.slideshare.net/khcoder/r1kh-coder

(2) Rで以下のコマンドを実行します。
> par(mai=c(0,0,0,0), mar=c(1,1,1,1), omi=c(0,0,0,0), oma =c(0,0,0,0) )

(3) 保存した*.rファイルをテキストエディタで開き、「plot(」を検索します。
そしてplot()関数のカッコ内に「axes="F"」というオプションを追加して、上
書き保存します。

(4) スライドの5ページ目の手順で、保存した*.rファイルを実行します。

(5) 軸を追加するために、以下のコマンドをRで実行します。
> axis(side=1, pos=0, at=c(-10:-1,1:10))
> axis(side=2, pos=0, at=c(-10:-1,1:10))

(6) プロット上で右クリックをして、プロットをコピーまたは保存します。Wo
rdに貼り付けるならmetafile、LaTeXならpostscriptを選ぶと良いでしょう。


もし私だったら、個人的な好みではBですが、状況によってはCにするかもしれ
ません。以上、ご参考にしていただける部分がありましたら幸いです。


  [No.1538] Re: 対応分析のプロットにおける軸のカスタマイズ 投稿者:pote  投稿日:2013/12/31(Tue) 15:54:38

樋口先生、詳細どうもありがとうございます。厚く御礼申し上げます。
年明け教えていただいた方法でチャレンジしたいと思います。

もう一点、軸の意味について明示しろ、という指摘をもらっているのですが、通常対応分析ではX軸が何を指すか、といったことは記載するものなのでしょうか?私の手元の本ではその必要はないという記述をみかけたのですが、もし何かご存知であればご教示いただければ幸甚に存じます。


  [No.1539] Re: 対応分析における軸の意味 投稿者:HIGUCHI Koichi  投稿日:2013/12/31(Tue) 17:23:46

こんにちは、樋口です。書き込みありがとうございます。

以下、少しだけコメントさせていただきます。※確実に「ご存知」なのかは怪
しい感じですが、私の考え・理解を簡単に…。

> 軸の意味について明示
> X軸が何を指すか、といったこと

これが何を意図しているのか、2通り考えられると思います。

1つは、プロットのX軸・Y軸が何をあらわすのかについての数理的な説明です。
もしこれを求められているようでしたら、対応分析の数理的な説明を示した上
で、「対応分析によって得られた1つ目の成分をX軸として用いた」というよう
に書けば良いと思います。オンラインで参照できるものとしては、例によって、
大隅先生のご解説が参考になろうかと存じます。
http://wordminer.org/tips/63

もう1つは、分析結果の解釈として、軸の意味を考えたものですね。たとえば
「右に行くほど○○に関連が深い語が布置されていることから、成分1(X軸)
には○△□傾向があらわれている」といったものです。こうした解釈を行える
場合もありますが、そうした場合ばかりではないというのが私の理解です。

> 私の手元の本ではその必要はないという記述をみかけた

私の後学のために、また掲示板をご覧になる皆さまのご参考に、差し支えなけ
れば書誌やページをお教えいただけるでしょうか。


だいぶ押し詰まってまいりました。
どうぞ良いお年をお迎えください。


  [No.1545] Re: 対応分析における軸の意味 投稿者:pote  投稿日:2014/01/08(Wed) 16:11:50

ご教示どうもありがとうございました。
ご返信遅くなり大変申し訳ありません。
出版おめでとうございます。入手して勉強させていただきます。
大隅先生のページ、参考にさせていただきます。

>もう1つは、分析結果の解釈として、軸の意味を考えたものですね…
>そうした場合ばかりではないというのが私の理解です。

そうした場合ばかりではない時はそのままにする、という理解でよろしいでしょうか。

内容分析の所が難しくてわからない、
軸の意味の解釈について、最低限書くべきだ、ということをいわれてしまったのですが(そこまで方法論に詳しくないと思われる方の指摘なので、そういうものではない、とはねてもいいとは思いますが、自分も果てなぜか、といわれるとうまく根拠がみつからないため)、どうディフェンドしたものか、とも考えています。

私が軸の解釈について、参考にしたのは、
高橋信[2005]「Excelで学ぶコレスポンデンス分析」 オーム社の195ページです。


  [No.1548] Re: 対応分析における軸の意味 投稿者:HIGUCHI Koichi  投稿日:2014/01/09(Thu) 13:02:54

こんにちは、樋口です。

参考資料についてお教えいただき、大変ありがとうございます。
心より感謝申し上げます。

> そうした場合ばかりではない時はそのままにする、という理解でよろしいで
> しょうか。

はい、私の場合はそのようにしております。先に挙げていただいた「社会調査
における計量テキスト分析の手順と実際」でもそうなっていたかと思います。

蛇足かとは思いますが、もし私自身がそうした指摘をうけた場合には、以下の
点を(注にでも)追記するかもしれません。

・それぞれの軸/成分は、対応分析という、林の数量化III類と同等の手法に
 よって数理的に得られたものであること
・軸について、例えば右に行くほど何らかの傾向が強いといった解釈を行える
 場合もあるが、そうした解釈を行えない場合もあること。
・今回の分析結果については、そうした軸の解釈は難しいこと


  [No.1549] Re: 対応分析における軸の意味 投稿者:pote  投稿日:2014/01/09(Thu) 19:31:41

樋口先生

ご返信ありがとうございます。脚注の書き方、とても参考になりました。
深く御礼申し上げます。
無事パブリッシュできましたらまた御礼にご報告させていただきます。

どうもありがとうございました。